YSYC 山下湘南夢クリニック

治療内容

卵胞期管理

体外受精は、まず卵胞期の管理から始まります。良好な卵子を得るためには、卵子が卵巣の中で成熟していく過程を重視しなければなりません。 その期間は非常に長く5ヶ月以上に及びますが、特に最後の2ヶ月間が重要です。 この間の卵子の成熟が乱されないように、私たちはできるだけ薬を少量に抑え、本来体内に存在しないホルモンであるhCGに関連した製剤を使用せず、 自然に近い状態で排卵を促す独自の治療法を取り入れています。

●自然周期
生理3日目から排卵前までの内服や注射は一切行わず、排卵直前のスプレキュア点鼻薬(GnRHa)だけで排卵を誘起します。 より自然に近い身体にやさしい治療法ですが、排卵時期のタイミングがわかりづらく、採卵する前に排卵してしまう場合もあります。
●クロミフェン周期
生理3日目からクロミフェンを使用して自然排卵を抑制するともに、途中から少量のFSH製剤を併用して体が選択してくれた卵子を必要数だけ育てるようにします。 卵胞が十分に成長したら、スプレキュア(下垂体ホルモン放出ホルモンのアゴニスト:代表的な商品名がスプレキュア)で 卵子の最終的な成熟(排卵しても良い状態にすること)を誘起します。使用する薬剤の種類を考慮し、量を極力少なくし、 体の良い卵子を作ろうとする力を最大限に利用した、身体にやさしいばかりではない自然の摂理に適った体外受精法です。
●カウフマン療法
排卵誘発剤の使用過多等により翌周期以降の生理周期が乱れ、良好卵子採取が難しい方が時々います。 その乱れた周期を必要に応じて50日間の当院独自のカウフマン療法により修復、調整し正常な状態に戻します。 この方法により体外受精の周期における良好卵化を試みます。

採卵・採精

体内で排卵直前まで発育した卵胞内の卵子を針で取り出します。 当院では特別に製造したクリニック独自の採卵針を使用するため無麻酔採卵が可能で、30分後には帰宅できるほど身体的負担が少ないのです。 一方、精子は採精室で採取あるいはご家庭からの持込となります。当院では男性不妊の治療も行っており、 射出精液中に精子がいないときは精巣上体または精巣から直接精子を手術的に取り出すことになりますが、長い経験に基づく技術により術後数時間で帰宅可能なのです。

●クリニック独自の採卵針
私たちは1999年より採卵針の独自開発を開始し、現在は世界標準の採卵針(17ゲージ)に比べ、約2分の1の太さの採卵針(21または22ゲージ)による採卵を行っています。 また針の先端部分の刃は特殊な方法で加工されており、組織へのダメージを最小限に抑えるように工夫されています。 現在、加藤レディスクリニックでは年間約15,000件の採卵を実施しておりますが、このような改良と工夫の結果、出血事故は1件もありません (一般的には500ml以上の大量出血が約3%の頻度で発生するとされています。1998年当時の私たちにおいても500人に1人の率で入院が必要なほどの採卵時出血が発生していました)。 また、この極細針では痛みや出血も軽度なため、不妊治療施設で一般的に行われている採卵のための全身麻酔処置は必要ありません。 また、身体に大きな負担をかけず通常数分間で採卵が完了するので、採卵後短時間の安静時間(約10分)で当日帰宅が可能です。
●精巣上体、精巣精子回収法
射出精液中に精子が確認できない方のための治療法です。針またはメスで精巣上体や精巣から直接組織を取り精子を回収します。 精子が1個でも確認できれば顕微受精させることができます。

受精・培養

卵子と精子の準備ができたら受精です。通常は卵子に多数の精子を振りかけて受精させます。この方法で受精しにくい場合には顕微授精法という技術もあります。 受精卵は通常2日間体外で培養して子宮に戻します。症例に応じて培養期間を延ばし、胚盤胞まで培養する方法もあります。

●顕微授精法(ICSI)
精子の数や形などに問題があり、受精率に限界がある方のための技術です。採卵した卵子に1個の精子を針で直接注入し受精させます。 現在では、できるだけ卵にやさしく精子を注入する方法も開発されてきています。
●胚盤胞培養(Blastocyst Culture)
受精卵を体外で通常より長い5日間ないし6日間培養し、着床前の胚盤胞まで培養します。 胚盤胞まで発育しないこともありますが、着床率は通常の4細胞期移植の2倍以上であり、卵管異常のある人や移植回数の多い人には極めて有効です。
●卵子孵化補助(Assisted Hatching)
胚盤胞を移植する際、胚盤胞の周りの透明帯を除去する操作です。この操作は、過去に子宮外妊娠などの卵管性の異常が予想される場合、胚発育が遅い場合、 ホルモン調節下の移植法の場合などに着床率を向上させることができます(加藤レディスクリニック(新宿)の過去のデータに基づきます)。

胚移植・凍結保存

体外で育てた受精卵を子宮に戻します。通常はカテーテルという細い管を用いて超音波誘導下で移植します。 子宮の入り口からカテーテルが入りにくい方には針で移植する方法もあります。当院ではこの2つの方法を使い分けて子宮の底部に確実に移植します。 何らかの理由で子宮内膜に問題がある場合は受精卵を凍結保存し、子宮内膜が良好な周期に移植します。

●移植に使用するカテーテル
私たち独自に開発した細く柔らかいカテーテルを使用します。 一般的なカテーテルが6フレンチというサイズなのに対して当院では2フレンチのカテーテル(2分の1以下の太さ)を開発し、 素材も従来のテフロンという堅いものからシリコンという非常に柔らかいものに変更しました。 操作性と柔らかさの間には相反する関係があり通常カテーテルには一定以上の堅さが要求されるのですが、これを独自の技術で解決したのです。
●単一胚移植(Single Embryo Transfer,SET)
私たちは以前より多胎妊娠の減少を目指してきました。現在ではほぼ100%、1個の胚(受精卵)だけを子宮に戻す治療を行っています。
●子宮内膜異常の治療
内膜に異常があると胚が子宮に着床する障害になります。内膜の異常を発見した場合、できるだけ簡単で友好的な治療を胚移植前に行い、着床しやすい状態とします。
●黄体ホルモン補充周期胚移植
凍結胚を移植する場合、できるだけ子宮内の環境を良くしなければいけません。 当院では子宮内膜の状態を良くすることはもちろん、正確にホルモン値をコントロールすることによって妊娠しやすい体にして胚移植を行ないます。
●ガラス化保存法(Vitrification)
直ぐに移植できない卵を凍結保存します。当院の凍結技術はどの生育段階の卵においても高い生存率で凍結保存が可能です。 凍結保存した受精卵は子宮内の準備が整い次第融解し移植します。

NEW ART 新生殖補助医療技術

私たちの役割は、世界最高の技術水準で全国の不妊症で悩む方々の手助けをすることです。 しかし、依然、現存の医療技術では治療困難な不妊症が存在しています。 私たちは1999年より先端生殖医学研究所を併設し、このような方々のための不可能を可能とする新しい不妊治療法の開発にも力を入れています。 また、現行の各治療法についても、さらに効果の高い安全な治療技術へと改良を重ね、より自然妊娠に近い理想的な不妊治療法の開発を行っています。

●未受精卵の凍結保存
これまで不可能とされていた受精前の卵子の凍結保存法(ガラス化保存法)の臨床応用化に私たちは世界ではじめて成功しました。これにより、癌治療女性に凍結卵子を用いた体外受精による妊娠への道が開かれました。 全国の不妊治療施設と協力し、治療ネットワーク構築により治療技術が普及されるよう努めていきたいと思っております。
●単一胚移植(Single Embryo Transfer,SET)
私たちは以前より多胎妊娠の減少を目指してきました。現在ではほぼ100%、1個の胚(受精卵)だけを子宮に戻す治療を行っています。
●卵子の若返り法
高齢不妊の主因は卵子の老化であることが明らかとなっています。 卵子の細胞質を健康なものと取り換えることにより、不育の老化卵子も正常な個体に成長することが知られてきました。 私たちの研究所では、マウスやウシなど7種のアニマルモデルを用いて基礎研究を重ねており、哺乳動物として世界ではじめて、老化不育卵子の若返りに成功しました。 現在、本技術の臨床応用をニューヨークのグループ施設より米国FDAへ申請中です。
●ヒトゲノム研究プロジェクト
世界規模でのヒトゲノム解明研究により、ヒト遺伝子の塩基配列はすでに明らかとなっており、 現在は、膨大な数の遺伝子それぞれが持つ意味の解明が先端サイエンスのテーマとなっています。 私たちも、遺伝的な不妊の原因を知り、将来的な治療法を開発することを目指して、 ゲノム研究世界最高峰のMIT(マサチューセッツ工科大学)White Head Institute、国立アムステルダム大学とY染色体解明共同研究を開始しました。