医療法人社団 煌の会 YSYC山下湘南夢クリニック

日本生殖医学会認定 生殖医療専門医 不妊治療費助成金指定医療機関 藤沢駅南口徒歩4分 TEL 0466-55-5011

スタッフブログ 山下湘南夢クリニック(YSYC)は、神奈川県藤沢市にある不妊治療を専門とする医療機関です。 そこで働く私たちスタッフが、日々感じた事や不妊治療に関する事を書いています。

  • カテゴリー:研究内容

    2022.08.02

    こんにちは。高度生殖医療研究所の甲斐です。

     
    新宿の京王プラザホテルで7/28(木)-29(金)にかけて開催された第40回日本受精着床学会学術講演会で発表してきました。

    演題名は「妊娠予測に基づくヒト胚盤胞の栄養外胚葉および内部細胞塊のトランスクリプトーム解析」で、少々難解なワードが並んでおりますが、簡単に説明しますと、妊娠期待率によって胚盤胞を3群に分けて遺伝子の働きを比較した、という内容です。

     
    当院では、胚盤胞を「受精から凍結までにかかった時間」と「胚盤胞の直径」の2つの指標をもとに評価しています。2018年3月から2020年12月までに凍結融解胚盤胞移植を受けた1,890症例について、この評価法により胚盤胞を3群に分け、妊娠率との相関を後方視的に解析したところ、それぞれ59.0%、34.2%、16.5%と有意な差を認めました(p<0.001)。
    この結果から、おそらくこの評価法には何らかの分子メカニズムが関わっているだろうと推測し、3群に分類した胚盤胞から内部細胞塊(着床後に胎児になる細胞群)と栄養外胚葉(着床後に胎盤になる細胞群)をそれぞれ単離して、RNAシーケンシングという手法により遺伝子の働きを比較しました。すると、内部細胞塊では26個、栄養外胚葉では67個の遺伝子に働きの違いがあることを見出しました。

    これらの遺伝子がどのように妊娠に関与しているかについては、残念ながら今のところ解析することは不可能です。しかしながら、研究が進みつつある人工ヒト胚モデルが実現すれば、将来的にはそのモデルを使って、今回発見した遺伝子群の機能解析が可能になるかもしれません。このような基礎データを積み重ね、ゆくゆくは非侵襲的で、且つ科学的根拠に基づいた胚盤胞評価法の確立に繋がればと考えています。

    この研究成果は、現在、論文にまとめて投稿中です。アクセプトされましたら、改めてご報告したいと思います。

     
    せっかくの学会参加でしたが、感染が拡大中ということもあり、滞在わずか4時間程度で帰路につきました。発表して、ランチョンセミナーのお弁当を食べて、午後のセッションに少し参加した程度です。

    対面でも気兼ねなくディスカッションでき、情報交換し合えるような日が1日でも早く戻ってきて欲しいものです。

  • カテゴリー:YSYCの日常

    2022.06.27

    日中は暑くなり夜はエアコンが無いと寝苦しい季節になってきましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。インフルエンザが流行の兆しを見せていますが、コロナと同時感染すると症状が重症化する可能性があるそうですので、注意してください。

    今年に入ってから非常に忙しく、中々ブログを書く機会がありませんでしたので、最近の活動などについて記載しようと思います。

    培養室でも保険適応に伴う業務の一部見直しを図り、ようやく一段落致しました。当院では培養液や顕微授精のツールといったいわゆる消耗品について、日々多くの検討をしております。消耗品の質は培養成績にも影響しうる重要な要素の一つです。製品の検討や開発を行いメーカーに有用なデータを提供することは、質の高い製品を非常に安価で購入させていただけるチャンスでもあります。保険適応に伴うコストカットが一部で騒がれておりますが、当院ではこれまでの継続的な取り組みの結果、消耗品のコストカットはせずに、良質の製品を継続して使用することが出来ております。保険適応に臨む当院の患者様のため、お力添えをいただいたメーカーさんに深く感謝をしております。

    また、新聞記事掲載(夕刊デイリー2022年5月9日)、ラジオ収録(FM西東京2022年6月19日放送)、当院公式YouTubeの動画撮影(公開済)など、外部に露出する仕事を多く経験させていただきました。もしお時間がありましたら、FM西東京とYouTubeのリンクを張っておきますので、ご覧になってください。

     
    妊活ラジオ(FM西東京)

    https://842fm.com/program/ninkatsu/
     
    胚培養専用ラベル「Gas-nil®」の誕生(YSYC公式YouTube)



     
    録音された自分の声を聴き、こんなに通りにくい曇った声をしていたのかとショックを受けています。特にラジオは音声だけですので・・・。

    もう少し口を開けて聞き取りやすい発音をするように心掛けたいと思います。

     
    河野
  • カテゴリー:研究内容

    2022.06.24

    こんにちは。高度生殖医療研究所の甲斐です。

     
    「卵子の質を改善して不妊治療の成績向上を目指す研究」に関するクラウドファンディングですが、おかげさまで目標を達成して幕を下ろすことができました。皆様の応援のおかげです。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

     
    思えば2ヶ月前、プライベートクリニックの研究に外部資金を調達するための新たな試みとして、不安と淡い期待の中で挑戦をスタートさせました。

    目標金額は100万円。卵丘細胞の遺伝子解析費用に充てるための資金です。

    成功の鍵は情報拡散にあることは明白だったのですが、残念ながら私は人脈が狭く(開始前に100名に連絡しておくよう運営から指示されましたが、私には30名が限界…)、おまけにSNSとも無縁。流石にこのままでは戦えないということで、新たにTwitterを開設し、1日1ツイートを目標に、地道な情報拡散に努めました。クラウドファンディング開始当初は、クリニックホームページと新設された当院公式のSNSが頼みの綱という状況でした。

     
    そして迎えた初日。幸先よくこの日だけで30%の達成率を果たすことができました。このまますぐに目標を達成できるのでは?などという甘い期待はすぐに裏切られることとなり、ここから苦難の日々が続きます。

    開始1週間で達成率は35%、2週間で達成率は37%と、徐々に支援は伸びなくなっていき、残り2週間の時点で達成率は55%という状態。運営からは残り1週間で75%に達していないと成功は難しいと言われていました。つまり、あと1週間で20%(20万円)を獲得しなければならない状況にまで追い詰められていたのです。この事実を突きつけられた時には、流石に心が折れかけました。正直なところ、敗者の弁を考えたりもしました。

    しかしながら、幸いにしてこの時には既にたくさんの仲間を私は得ておりました。当院スタッフをはじめ、お世話になっている業者さん、またTwitter上のお会いしたことのない沢山のフォロワーさん達の熱い応援のおかげで、怒涛のラストスパートを繰り広げ、残り1週間の時点で達成率は77%にまで伸び、募集終了の3日前には100%を達成、そして驚くことに目標達成後にも支援は増え続け、最終的には達成率を141%にまで伸ばすことが出来ました。支援して下さったサポーターは107名にまで上り、さらに多くの方々に色々な形で応援して頂くことができました。

    心折れそうな私を叱咤激励してくれた運営スタッフさんにも本当に感謝しております。諦めていたらこの喜びは得られませんでした。

     
    面識が無いにも関わらず、本当にたくさんの方々から支援を頂きました。本研究への期待と信頼あってのものと受け止めています。大変嬉しく思うとともに、責任をもって本研究に臨まねばと気を引き締めております。

    サポーターの中には、友人、知人、ART従事者、研究者、研究ファン、取引のある業者さんの他に、実際にARTを経験された方々や現在ART治療中の方々までが多数含まれておりました。コメントに残して頂いた皆様の思いはしっかりと受け取らせて頂いています。

     
    情報拡散のためにオンライントークやラジオへの出演、学会での広告掲示など、様々な取り組みも行いました。機会を頂いた関係者の皆様、本当にありがとうございました。おかげさまで本研究やクリニックについて、多くの方々に知って頂く機会になったと思います。

    また、今回の挑戦を通して様々な方と繋がることが出来ましたが、将来、共同研究が出来たら良いなと思える方々にも出会いました。これは私にとって本当に大きなことです。このように副産物の収穫も大きかったように思います。

     
    正直しんどかったですが、得られたものは多く、挑戦して良かったと心から思っています。ただ、二度目はもう勘弁ですが…

    兎にも角にも、プライベートクリニックが外部資金を調達する一つの道を示すことができましたので、これからどんどん後に続いてもらえれば嬉しく思います。ノウハウもある程度蓄積されましたので、後進には出来る限り協力したいと思っています。プライベートクリニックでも戦えるぞ、というところを見せていきましょう!!

     
    今回の挑戦におきましては皆様から十分過ぎるほどの応援を頂きましたので、あとは私が研究でベストを尽くしてお応えするだけです!!

    研究の進捗はクリニックのホームページの他、academistのプロジェクトページとSNSで報告していく予定です。

    プロジェクトページ:https://academist-cf.com/projects/250
    Twitter:https://twitter.com/artnakenkyusha
     
    引き続き、「卵子の質を改善して不妊治療の成績向上を目指す研究」の進捗を見守って頂けますと幸いです。本当にありがとうございました!!

  • カテゴリー:YSYCの日常

    2022.06.17

    先日、京都で開催された日本卵子学会に参加し、タイムラプスインキュベータを使用した胚盤胞培養成績について口頭発表してきましたので報告いたします。

     
    当院では、常に培養液やインキュベータといった培養環境を改善し、培養成績の向上を実現させております。その一環として、2020年よりタイムラプスインキュベータを導入致しました。インキュベータとは胚を育てる保育器のことで、最適な気層と温度が維持されています。従来のインキュベータでは、胚の観察の度にインキュベータの開閉が必要となり、インキュベータ内の環境が一時的に大気と入れ替わってしまいます。一方、タイムラプスインキュベータは内蔵されたカメラを用いて培養中の胚を撮影することから、観察時にインキュベータの開閉を必要としません。そのため、胚へのストレスをグッと抑えつつ、私たち培養士がお預かりしている胚の観察をできる優れもののインキュベータです。

    一部、発表内容より抜粋してお話させていただきます。

    下のグラフが胚盤胞培養の結果です。ふりかけ法でも顕微授精でもタイムラプスインキュベータで培養された胚の方が約10%も高い胚盤胞到達率を示しました。

     
     
    成長した胚盤胞のグレードや胚盤胞移植後の妊娠率も従来のインキュベータと遜色ないことがわかりました。つまり、タイムラプスインキュベータを使用することで多くの胚盤胞が得られ、移植成績も良好であることから、1回の採卵あたりの妊娠率が向上するといえます。

     
    4月から始まった不妊治療における保険制度では、タイムラプスは先進医療の位置づけとなり、治療に用いるかは患者様のご希望となります。当院では、タイムラプスインキュベータを使用されている患者様には、患者様の卵が成長していく様子の動画を見ながら解説する機会もご用意しておりますので、ぜひご利用ください。

     
    培養部 越智
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医療法人社団 煌の会 山下湘南夢クリニック 院長:山下直樹
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